矢野敬一教授の著作『まちづくりからの小さな公共性』の書評とインタビュー記事が新聞掲載されました

社会科教育専修・矢野敬一教授の著作『まちづくりからの小さな公共性 城下町村上の挑戦』が、『新潟日報』紙上に書評とインタビュー記事で紹介されました。

書評は1月7日掲載で、民俗学者の重信幸彦氏によるものです。またインタビュー記事は昨年9月23日掲載(矢野研究室のFBページはこちら)。
以下、書評の一部と、インタビュー記事(転載禁止)です。

 本書は、「まちづくり」紹介本というより、村上の戦後都市史の本である。村上に暮らす人々が、どのように現在の「城下町・村上」を作り上げてきたか。そこには、自らの暮らしのなかから「まちづくり」に向けて資源を発見し、それを語り、意味づけ、保存や活用等具体的かたちを与えていく資源化の過程がある。(中略)
著者は、個々の町屋空間のイベントが生み出す、出会い、ことばを交わし美に触れる経験を「場の審美性/経験の遊楽性」と名付け、商いの稼ぎに直結しないこうした場に「小さな公共性」の可能性を見る。それらが重なり、地域から外部へ広がるネットワークが生み出され、「まちづくり」の橋頭堡が形成されるのである。
 町屋を資源化する契機をつくった夫妻の、町の人を起こす、それがまちおこしではないか、ということばは、本書を貫くモチーフでもあり、それこそが村上という都市の戦後史を動かしてきたことを、本書は鮮やかに描き出している。  (重信幸彦・民俗学者)