スポーツ界における暴力、ハラスメント、ドーピングなど様々な問題への対応として、スポーツ・インテグリティ教育への関心が高まっています。スポーツ・インテグリティとはスポーツにおける「誠実性・健全性・高潔性」を表す言葉で、従来はスポーツマンシップやスポーツ倫理と呼ばれてきました。藤井研究室ではスポーツ選手として「何をしてはだめか」(予防原理)という観点だけではなく、「何をすべきか」(志向原理)という観点から独自の教材開発研究を進めており、その一環として開発した教材をもとに研修を実施しました。
7月12日には、静岡学園高校の寺島教諭の協力により、顧問をされている男子卓球部の選手を対象とした研修が行われました。同校は全国的な卓球の強豪校として知られており、選手としての姿勢や考え方を含めた人間性の教育にも力をいれています。
当日は、本学学生も交えて真剣な話し合いが行われ、卓球というスポーツの素晴らしいさや選手としての誇りを持つこと、さらに「どんな選手でありたいか」といった理想を考え、勝利を目指す前に重要なこと学ぶ機会となりました。
また、本学名誉教授で日本卓球協会スポーツ医・科学委員会・委員長をつとめる吉田和人教授(順天堂大学)も参観されました。
なお、藤井准教授と吉田名誉教授は公益財団法人「日本オリンピック委員会」より、「令和5年度 日本オリンピック委員会 強化スタッフ(医・科学スタッフ)」に任命されており、卓球界における「スポーツ・インテグリティ教育」の推進に向けて共同研究を行っています。
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7月13日には、清水エスパルスU13、U14の選手40名を対象として、静岡大学キャンパスにて研修を実施。
当日は、藤井研究室と共同で教材開発を進めてきたエスパルスジュニアユースの横山貴之監督、岩下潤監督をはじめ、エスパルス育成部の澤野氏など多くの関係者が参加。
研修では、スポーツと関連する深い価値や考え方を10種類の抽出したカードを用いて、自分にとって大切だと思う価値や考え方に優先順位をつけ、その内容をグループで共有しました。
次に、競技スポーツにおける葛藤する場面について、自分がどちらを選ぶかについて考え、グループで議論しました。こうしたワークを通して多様な価値に触れ、自分が「どんなスポーツ選手でありたいか」を深く考えることを目指しています。
なお、その様子は静岡新聞(2023年7月17日版)にも紹介されました。
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上記の実践及び分析結果については、藤井准教授と安永太地(本学学術研究員)とで「日本体育・スポーツ・健康学会」(8月下旬開催)にて報告予定です。