深津周太講師(教育学領域国語教育系列)が,日本語文法学会より「第5回日本 語文法学会論文賞(2022年度)」を受賞

深津周太講師(教育学領域国語教育系列)が,名誉ある第5回日本語文法学会論文賞(2022年度)を受賞しました。
受賞論文は,「否定的文脈に用いる「何が/何の」の史的展開」22巻2号(2022年9月)で,中世末期から近世へかけての「何が/何の」の変化の実態を明らかにし,その要因を探ったものです。中世末期,「何が/何の」は「何+主格助詞」という構成で,推量と共起する“反語用法”で使われました(例:何が情が強かろう)。この用法から,否定と共起する“否定明示用法”が派生し(例:何の忘れはせぬ),「何が/何の」は1語の副詞に変化しました。「何が」は中世末期にすでにこの用法が見え,「何の」は遅れて近世前期から見られます。その後,「何の」の方は勢力を増し,近世後期に否定応答で使用する,感動詞的な“文脈否定用法”を獲得したが(例:何の,じつとおとなしうして居なされ),対照的に,「何が」の勢力は衰え,近世を通して反語用法だけが細々と続きました。「何が」が衰えた要因には,近世に「が」が主格助詞として優勢になったために,「何が」は「何+主格助詞」と意識されやすく,1語の副詞として否定明示用法を維持するのが難しくなったことが考えられます。(日本語文法学会HPより)

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