国立大学法人静岡大学教育学部塩田研究室(准教授:塩田真吾)は,国立大学法人鹿児島大学大学院教育学研究科髙瀬研究室(助教:髙瀬和也),鹿児島県教育委員会と共同で,「飲酒運転」「職員間ハラスメント」に続く第0弾として,「教員のライフキャリア」を題材としたリスクへの自覚を促す教員研修教材を開発しました。研修などで利用できる教材一式を本日より無償で提供開始します。
鹿児島県教育委員会では,これまでも各種研修や学校での服務指導を通じて,不祥事の根絶に取り組んできました。しかしながら,依然として「自分事」として捉える意識の低さや,一部の不祥事の原因として自己の感覚や考えに対する無批判なこだわりが指摘されています。このため,相手意識の醸成や意識の更新・変容を促進する取組が必要であると考えていました。
このような状況を踏まえて三者は,教員をとりまく不祥事に関するリスクを自分事として考えていくための,「リスクへの自覚を促す教員研修教材シリーズ」の構築に着手しました。当シリーズは鹿児島大学髙瀬研究室と静岡大学塩田研究室が開発し,鹿児島県教育委員会が監修しています。
今回は,既に公開したシリーズ第1弾「導入&飲酒運転のリスクver.」,第2弾「職員間ハラスメントのリスクver.」に続いて,新たに第0弾「教員のライフキャリアとリスクver.」を公開しました。
教員のリスクに対する自覚意識を育むべく,すべての学校の先生方や教育関係者の皆様に,広くご活用いただけますと幸いです。
ワークシート教材は,こちらよりダウンロードしてお使いいただけます。
教材開発:静岡大学教育学部 准教授 塩田真吾
不祥事を起こすことのリスクは,十分知られています。しかし,いくら「懲戒処分になります」と言われても,なかなかそのダメージを具体的にイメージすることは難しく,そのことが防止策になりにくいという現状があります。そこで本教材では,まずは自分のライフキャリアの充実を考え,その上でそれを失うことをイメージさせる手法を取り入れています。ライフキャリアの充実とリスクを両輪として考えるという手法をぜひ活用していただければ幸いです。
プロフィール:早稲田大学大学院博士課程修了,博士(学術)。静岡大学助教,講師を経て現職。専門は,教育工学,情報教育,授業デザイン。「社会とつながる授業」をテーマに,さまざまな企業と連携しながら「授業デザイン」について工学的に研究している。主な著書に,『行動改善を目指した情報モラル教育』(2018)などがある。
教材開発:鹿児島大学大学院教育学研究科 助教 髙瀬和也
失敗や間違い,思い込みは人につきもので,不祥事につながる高リスク状況へと陥る要因は生活の至る所に散らばっています。本教材は,研修を受講する一人ひとりがリスクを自分事として捉えるための内容を重視しました。本シリーズ教材が,学校現場を支える先生方にとって,自らのライフキャリアを損なわずに,リスクを身近なものとして考えるきっかけになれば幸いです。
プロフィール:早稲田大学大学院博士課程修了,博士(学術)。専門は,教育工学,安全人間工学,情報セキュリティ教育。人のエラーをどのように減じられるかについて,安全人間工学の観点から研究している。主な論文に,「ヒューマンエラー対策手法を用いた個人情報漏洩を防ぐ教員研修教材の開発と評価」(2018)などがある。
