受験生・保護者の皆さま

学部長挨拶

創基150周年を迎えて

-今はじまる、一歩先を見据えた新たな教員養成への誘い-

 

 静岡大学教育学部は「学校の先生」を養成する学部です。幼稚園・こども園から、小学校、中学校、高等学校まで、また特別支援学校や各学校の保健室の先生(養護教諭)など、様々な「学校の先生」を養成しています。国語、数学、理科、社会、英語、保健体育、音楽、美術、技術、家庭、特別支援、幼稚園、養護など、ほぼ全ての免許取得のための課程が揃っています。そのため、授業や演習、教育実習、ボランティアなどのいろいろな場面で多様な専門分野の学生がかかわりあうことになります。このような環境で、学生のみなさんは視野を広げ、創造力を磨き、様々な価値と出会うことで、多様な子供たちに対応できる柔軟性と応用力を身につけていきます。今、学校現場では、様々な問題に異なる立場の人たちが協働して立ち向かうチーム力が求められています。本学部は教員を目指すにあたり、リアルな教育現場を再現した議論や体験ができる最高の環境が整っているといえるでしょう。
 さて、教師の魅力ややりがいは何だと思いますか? 何と言っても、次の時代を創る子供たちの教育に携われることだと思います。平和で素晴らしい社会を創り、自己実現に向けて子供たちが自分の足でしっかりと歩いていけるように、導いたり、共に考えたり、時には見守りながら伴走したりするのが教育者の重要な役割であり、やりがいでもあります。
 私は学校現場に23年間いましたので、経験から教職の魅力を次のように確信しています。
 教師は、子供たちが日々成長していく姿を見届け、どんな過酷な環境の中でもたくましく生き抜いていく子供の姿に多くを学ぶことができます。大人がとても考えつかないような、創造性あふれる思考や新たな視点や価値観に触れ、新鮮な驚きと刺激を受け続けることで、自身が人として成長できます。共に悩み歩んだ日々の先に、その子自身が自分の力で夢を叶え、人生をしっかりと歩んでいる姿に出会い感動することもできます。教職は人が成長する最も大事な時期に共に歩み、その先の人生も見届けることができる素晴らしい職です。
 静岡大学教育学部は2025年に創基150周年を迎え、一歩先を見据えた教員養成へと変革しようとしています。今、子供たちを取り巻く環境は大きな変化の中にあります。生まれた時からソーシャルメディアの中で育ち、価値観も多様化しています。また、日本語指導が必要な子供や心身の健康に課題を持つ子供の増加など、グロ-バル化やインクル-シブ社会の進展により、教員だけで、課題を解決することが難しい時代となりました。そのため、教科指導力、児童生徒支援力の他、福祉・医療等の多職種、多機関連携がきる力も求められています。今本学部は、学部4年間を貫いた「教職キャリア形成プログラム」、教師としての強みを形成する「教育の現代的課題」科目群、教職への道のりを支援する教職支援室など、これまでの取り組みを連動させつつ、新たな課題に対応できる教員養成へと転換しつつあります。
 私は常々、「未来は過去にある」と考えています。この歴史的な機に、今一度、教育の原点に立ち返り、教育の本質、教職とは何かをしっかりと捉えた上で、未来社会に適応した一歩先を見据えた新たな教員養成を展開していきたいと思います。
 魅力あふれる教師を目指す意欲あるみなさん、私たちとともに新しい教育学部、そして未来の教育を是非一緒に創り上げていきましょう。

教育学部長  鎌塚 優子